
連日の真夏日から一転、少しだけ夏の暑さが和らいだ令和7年7月26日。私たち札幌市民共済は、歴史ある「第41回 石山夏まつり」に初めて参加させていただきました。会場となった石山北公園は、開始前から地域の方々の熱気に包まれていました。
今回の参加は、石山商店街振興組合の山本理事長との素敵なご縁がきっかけです。私たち札幌市民共済は、「相互扶助」の精神、つまり「一人は万人のために、万人は一人のために」という助け合いの心で成り立っています。この精神は、暮らしの中だけでなく、地域コミュニティとの連携があってこそ、より大きな力になると信じています。
「共済組合が、なぜ夏まつりに?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。私たちは、皆さまの暮らしに「万が一」があった時にお役に立つのが仕事ですが、それ以前に、皆さまが暮らすこの「地域」が、元気で、笑顔で溢れていることが何より大切だと考えています。
地域のお祭りに参加し、皆さまと直接触れ合うこと。それは私たちにとって、机の上では決して得られない、貴重な「地域貢献」の一つの形なのです。山本理事長をはじめ、温かく迎え入れてくださった石山商店街振興組合と石山町内会連合会の皆さまに心から感謝し、私たちのブース準備が始まりました。
さて、いざイベント出展となると、避けては通れないのが「どうすれば私たちの活動を知ってもらえるか?」という課題です。実は昨年、別の地区の夏まつりに参加した際、少し苦い経験がありました。
A4サイズのクリアファイルに、火災共済のチラシや申込書をぎっしり詰めてお配りしようとしたのですが、なかなか受け取っていただけなかったのです。考えてみれば当然かもしれません。夏まつりに来られる方は、軽装で、小さなバッグ一つという方がほとんど。大きな資料は、正直なところ邪魔になってしまいますよね。
その反省を活かし、今年は二つの秘策を準備しました。
一つ目は「思いやりを形にした、三つ折りチラシ作戦」です。
火災共済の大切な情報が詰まったチラシを、手に取りやすいようコンパクトに三つ折り。さらに、汗ばむ季節に誰もが「これは嬉しい!」と感じるウェットティッシュをセットにしました。これらを小さなクリアポケットに同封したのです。これは単なる宣伝ではなく、「暑い中、お祭りに来てくれてありがとう」という、私たちからのささやかな感謝の気持ちの表現でもありました。
そして二つ目の秘策が「未来の主役たちへのプレゼント作戦」です。
ブースの前を素通りさせないための仕掛けとして、お子さん向けの「くじ引きコーナー」を設けました。男の子用、女の子用と、それぞれに魅力的な景品が80種類も揃ったくじです。子どもたちの「やりたい!」という気持ちが、ご家族の足を止め、自然なコミュニケーションを生むきっかけになると考えたのです。
この作戦は見事に的中!夏まつりが始まると、私たちのブースには、くじ引きを目当てにした子どもたちが目を輝かせながら次々と訪れてくれました。お子さんがくじに夢中になっている間に、親御さんへ「よろしければ、どうぞ」と例のウェットティッシュ付きチラシをお渡しすると、驚くほど多くの方が快く受け取ってくださったのです。
「あら、ウェットティッシュ助かるわ!ありがとう」
そんな一言が、私たちの心を温かくしてくれました。相手の立場に立って考え、ほんの少し工夫を凝らすこと。それは、私たちの「相互扶助」の精神そのものなのかもしれません。
開始からわずか1時間半。あれほど受け取ってもらえなかった経験が嘘のように、用意した200部のチラシはすべて配り終えることができました。これもひとえに、くじ引きに集まってくれた子どもたちの笑顔のおかげです。
もちろん、すべてが計画通りだったわけではありません。「なぜか男の子の立ち寄り率が少し低かったかな?」など、次への課題も見つかりました。これもまた、現場だからこそ得られる貴重なデータです。この気づきを次に活かし、もっと多くの子どもたちに楽しんでもらえるよう、改善を続けていきたいと思います。
今回の出展を通じて、私たちは改めて「地域とのつながりの大切さ」を実感しました。テントの設営から「札幌市民共済生活協同組合」というプレートの準備まで、細やかなお心遣いをいただいた石山商店街振興組合の皆さま。そして、私たちのブースに立ち寄り、笑顔を向けてくださった地域の皆さま。このイベントは、まさに地域全体で作り上げる「助け合い」の結晶でした。
「火災共済」は、万が一の災害から皆さまの暮らしと財産を守るための大切な備えです。しかし、私たちが本当に目指すのは、共済が必要となる悲しい出来事が起こらない、安全で安心なまちづくりに貢献することです。今回お配りした一枚一枚のチラシが、防災や助け合いについてご家庭で話し合う、ほんの小さなきっかけになってくれれば、これほど嬉しいことはありません。
イベントを終え、後片付けをしながら感じたのは、確かな手応えと心地よい疲労感でした。昨年の「配れなかったチラシ」は、単なる紙の束でした。しかし、今年の「受け取っていただけたチラシ」は、ウェットティッシュという小さな“思いやり”と、子どもたちの笑顔という“魔法”によって、私たちと地域の方々を繋ぐ「ご縁の架け橋」に変わったのです。
私たちの活動は、一つ一つのイベント参加や、一枚一枚のチラシ配りといった、地道なことの繰り返しです。しかし、その一つ一つに「相手を思う心」を込めることで、単なる業務が「地域貢献」となり、「相互扶助」の輪を広げる一歩になると信じています。
来週もまた、別の地域でのイベントが控えています。石山夏まつりで得た温かい気持ちと貴重な学びを胸に、私たちはまた、地域の皆さまに会いに行きます。一枚のチラシに、たくさんの感謝を込めて。